ちびり 短編小説風

引っ越し先もきまり、この街で暮らすのも後2週間足らずとなった。
9年間、、気づけば大学行くまでの18年間暮らした実家を除くと一番長い時間を過ごしていたようだ。
駅前のおにぎりやさん、安い居酒屋、クリーニング屋、公園、、これまでなにも思わずに見てきた景色も後2週間と思うと懐かしい風景に見えてくる。離れる前に行っておかなければ。。
この街は下町らしく、家が密集しておりネコが多い。公園にも毎日3、4匹がたむろしている。駅からアパートに帰る途中の路地にいつも何かを待っているネコがいた。名前はわからない。どこの家のねこなのかも。
ネコはアレルギーがあるので近づかないようにしているのだが、この子だけはかわいさに負けて遊んでいた。
その子を見かけなくなったのは3週間ほど前。最近は急に寒くなってきたし、ネコも外はつらいのだろう、、と思っていたのだけれど、先週、気づいたら花と石が道ばたに、、
石には「ちびりを偲ぶ」。。
名前はわからない。なので、本当にあの子が亡くなったのかはわからない。でも、ちびり、、、名は体を表すというけれど、他のどのネコよりもあっている名前だと感じる。
まだ年はいってそうになかった。病気だったのかな。逃げないのは元気がなかったからなのかな。
「ちびりを偲ぶ。。」いままでありがとう、ちびり。